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ガルシアへの手紙。現代においてローワンのように自主的な行動ができるようになるには?

上司に作業頼まれたのに、何も聞かずに作業をできない自分がいたので、色々考えた。

成功率の低い困難な条件にも関わらず、ガルシアへ手紙を届けて、歴史上、重要な役割を果たしたローワン。
彼は、大統領から「ガルシアに手紙を届けてくれ」と言われた時に、届け先の相手がどこに存在しているのかも聞かず(聞いても誰も知らない)、行動にうつして目的を達成した人である。


オレは彼のようになぜできないのだろう?


色々考えているうちに、ローワンのように実行できない理由に思い当たった。


目的が不明確。


何ができればよいかを伝えてもらっていない。
それは作業指示を出す/出される関係において、逆転できない、補完できない作業である。


何をしてほしいのか?

何をしてほしいかを確認したら、案の定、指示を出している本人もゴールを分かっていなかった。
なので、ゴールを整理した。

ローワンに当てはめれば、「この手紙を渡してほしい」とだけ言われたようなものだ。
それだけの指示では、「誰に?」と思うのが普通だ。

それを聞き返さないと、目的を達成できない。
作業側が目的を達成したと思っても、指示側はおそらく満足しないだろう。

(ガルシアに手紙を届けてほしかったのに、なぜこいつはオレの母親に送ったのだ…。)
なんて思うかもしれない。
ローワンが信頼を取り戻し、大統領命令を再び受けられるのは100年後かもしれない。

誰に手紙を渡すのか?
誰にでもよいのか?
側近か?
スペイン国王か?
イギリス国王か?



抽象化して、教訓を整理したい。


ガルシアへの手紙。
着目すべきは、指示の明確さ。

不明瞭な指示を出されても、ローワンのようには動けない。
また、絶対的な指揮系統が存在していた点も見逃せない。

大統領の命令は、合衆国の軍人にとって必ず達成すべき命令であった。
合衆国の市民であり続け、軍隊に入隊したのであれば、従うことにコミットメントしているわけです。



さらに、命令の仕方が完全委任型という点。
手段に口をさしはさまないことである。
目的を達成しさえすれば、どんな方法をとってもよい、と認めることである。
大統領命令であることから、届けるために必要な資源(人・モノ・金・情報。時間はここでは別)は豊富に利用できたことが推測される。


ローワンを生み出すための前提は、
 ・目標が明確
 ・指揮系統が明確
 ・完全に委任する
であったと考えられる。


「届け先のガルシア将軍はどこにいるか?」と聞かずに、
目的を達成してしまうローワンを、現代の経営者も求めているらしい。

管理職も同様の希望を持っているだろう。
いわゆる「自律型人間」への成長の期待である。


しかし、指示を出す側が条件を満たさなければ、指示を受ける側が目的を達成することはできない。
ちょくちょく、進捗報告を求めたり、やり方に注文をつけたり、タブーを後から次々追加したり、そもそも何をさせたいのかが指示を出している側もよく分かっていなかったり。

「売上を30%アップさせてくれ。手段は問わない。」
あとは任せる。何も聞かない。
やり方を聞いてきたら、「自分で考えろ。それが仕事だ。」と返す。


そうなれば、ローワンのように動かざるを得ない。


相手に求める前に、自分がするべきことがある。
「完全に任せる」ということが、1つのポイントかと。


失敗のリスクもあるし、コントロールを離れるため、自分の中での不安との闘いに耐えなければならない。
それができれば、部下もハイパフォーマンスを発揮する可能性が出てくる。


もちろん、自分にローワンのような動きを課すことは一方で必要だと思う。
いい動きをするためにも、前提情報が足りなければ、指示元と初期段階で手早く交渉してオーソライズしておく。


加えて、自分自身からお願いする作業については、上記の3つの条件をしっかり踏まえたいと思う。



お互いのハッピーのために☆







ガルシアへの手紙
ガルシアへの手紙
posted with amazlet on 06.11.10
エルバート ハバード Elbert Hubbard ハイブロー武蔵
総合法令出版
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おすすめ度の平均: 3.5
3 セルフヘルプの精神
4 できることをやる
2 今さら、この本でもあるまい。他の本を当たる方が良いのでは?


(次の物語は1899年に、わずか1時間で書き上げられた。
 著者エルバート・ハバード はごく平易な文体で書いたのだが、
 そこには非常に重要な基本的教訓が含まれていたため
 早くも1913年には原本が4千万部印刷されていた。


1時間で書き上げる、というスピード感がたまらない。
そして10年間程度で4,000万部というのもクール。



 ガルシア将軍はすでに世を去ったが、ガルシアはほかにもいる。多くの人手を必要とする大事業を遂行しようとしたことのある人なら、きっと平均的な人間の無能さに愕然とした経験があるだろう。一つのことに集中して、それを遂行する能力、あるいは意欲がない。

 ずさんな手助け、愚かな不注意、なげやりな無関心、それにうわの空の仕事がお定まりらしい。

 読者諸氏よ、試してごらんなさい。あなたはいまオフィスにいて、六人の部下が近くにいる。その中の誰か一人を呼んで、頼む。「百科辞典で調べて、コレッジョの生涯について簡単なメモを書いてくれないか」
 その部下は静かに「はい」と答えて、仕事に取りかかるだろうか?決してそうはしないだろう。きっと怪訝な顔をして、 次の質問を一つか二つするだろう。
 …
 どの百科事典でしょう?
 なんでお知りになりたいのです?
 …


「百科事典で調べる」という手段の限定はまだしも、「簡単なメモ」という曖昧な表現と「目的不在」。
にも関わらず、「なんでお知りになりたいのです?」がNGワードらしい。

目的まで確認することは、よりよい成果を出すために(依頼元の要件に合致した結果を返すために)必要なことだと思うのだが…。
P.F.ドラッガーの「なにが成果を生み出すか」という問いへの答えを考えると、第二次世界大戦前と比べて変化した職場環境・仕事のスタイルへ適応するために必要な問いになるかと。

大統領から軍人への命令と、現代の対等な関係間での依頼は前提が違うのでは。
会社内で考えても、社長も社員もそれぞれプロフェッショナルであって、互いに目的や背景を開示していた上で依頼するのが、最近の仕事における人間関係のトレンドだと私は認識している。

コレッジョの生涯を調べるのであれば、Wikipediaから引っ張るとかすればいい。

◆コレッジョ - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%A7



100年前と今では、やり方が異なる。
というか、この作業は人に依頼する代物かも疑わしい。

「自分で調べろ!」と逆に言われてしまうのがオチだ。
それほど情報検索コストは低くなっている。

そんな現代においてあえてコレッジョのメモを作らせたいのであれば、「なんで?」と聞きたくなるのは自然な話。
「実は、PCが壊れててさ、調べられないんだよ。」とか、
「5分後にお客様と打合せがあるんだけど、その次の打合せで使いたいんだよね。頼める?」とか、
それなりの理由が出てくると思う。

その理由がなければ、たとえ社長であろうとも、よっぽどの信頼関係がなければ、そんな作業は受けがたい。
奴隷か何かと勘違いしてはいけません。
「経営のプロが、情報検索のプロにお願いする、時間などのコスト節約のために。」という構図が現代的。


とまぁ、100年前の書籍にツッコミを入れても詮無きこと。
現代風のケースに、読み替える必要がある。

もう少し別の種類の依頼がそれに該当するだろう。


いずれにせよ、相手のやり方に介入しない、という合意の上で成り立つ関係である。
プロフェッショナル同士の契約と捉えれば、成果への責任のためにローワンのように動くことができる。

現代においては、かなりハイレベルな人間関係。
7つの習慣で言うところの相互依存の関係になるだろう。


7つの習慣―成功には原則があった!
スティーブン・R. コヴィー ジェームス スキナー Stephen R. Covey 川西 茂
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5 習慣は大事ですね
5 7つの習慣は習慣の本
5 最高の本だと思います



賛同できるか批判対象となるかはともかく、あれこれ読者に考えさせるというのは良書だと思う。

  by hony-b | 2006-11-10 11:51 | 仕事の見方

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